石垣島にゴルフリゾートは必要?

Q1. ゴルフリゾートが地域経済を振興するなら仕方ないのでは?

「ゴルフ場は観光のために必要」は嘘でした。

これまで石垣市は「ゴルフ場は石垣島の観光の未来のために必要」という説明をしていましたが、ゴルフリゾート推進側もゴルフ場は儲からないと分かっていることが石垣市の市議会にて明るみになりました。

ゴルフリゾート推進市議
ゴルフリゾート推進市議

石垣のためにね、儲けにもならないゴルフ場をつくろうという素晴らしい企業が…

本音が出てしまいましたね。これまで表向きの市民への説明は「観光の振興のためにある程度の開発は必要だ」とか言ってたんですが。 裏では儲からない前提で話してて、市民には嘘を並べてだましていたわけです。

石垣島に過去にあったゴルフ場は、2件とも経営状況が芳しくないと分かる揉め事がニュースになっていました。ですので、「ゴルフ場で観光振興」と言い張ることに私たちは疑問を持っていました。

公共事業かのように石垣市が協力して市有地の提供・農地転用する正当な理由がありません。石垣市が公表する経済効果には専門家から問題点が分析されています。(参考:WWFスタッフブログ | 開発事業の「経済効果」を巡る問題点~石垣島ゴルフリゾート計画 )

参考 開発事業の「経済効果」を巡る問題点~石垣島ゴルフリゾート計画WWF JAPAN

沖縄県北部の嵐山ゴルフ倶楽部が令和4年 3月31日に廃業して間もないですね。日本全国で日本のゴルフ人口は減っています。

ゴルフ場は観光振興になりません。

極一部のゴルフをやりたいおじいちゃんのためにつくりたいのでしょう。
それならそれで誠実に説明してください。「活性のためなら仕方ない」と考えている市民は完全に騙されている状態です。

ごく一部の人の楽しみのためだけに、この場所にゴルフリゾートをつくる?

生態系、周辺営農者や観光事業への悪影響、自然や星空を楽しむ市民のことは考えない?損害が大きすぎます。

そもそ事業継続できるのか・・・?

1日700tという大量の地下水を利用予定ですが、こんな量、すぐに枯れてしまうことが予測されます。

事業予定地の水源の前勢岳は標高197m。事業予定地内を流れる川も小さなものです。事業者自身、環境影響評価書(2022/10)の中で2027年に上水利用の上限をあげることを石垣市に要求しています。

石垣市は水不足です。ほぼ毎年夏には節水のお願いが回ってきます。島のキャパシティを考えるととても長期継続できる事業計画ではありません。

事業者は、農地転用さえできれば地価が数十倍に跳ね上がるので転売さえすれば儲かるでしょう。ノーリスクなのです。市民は、貴重な生態系、自然からの恩恵を失います。

ゴルフリゾートにより失うものが大きすぎる

損害①既存のリゾート/飲食事業にとっての脅威

複合レジャー施設なので宿泊客はゴルフリゾート内で完結してしまいます。むしろ島の既存の観光施設にとっては脅威となる存在です。なぜ石垣市が既存事業を無視してこのゴルフリゾートだけ全面的に協力する必要があるのか、説明がなされていません。

損害②生態系への悪影響による周辺営農・観光業への損害

 本事業はラムサール条約湿地の上流・絶滅危惧ⅠA類の特別天然記念物が暮らす森という島の中でも最悪と言える場所に計画されています。巨大な農振除外が行われるにも関わらず、農振除外の規定にある他の候補との検討がなされた形跡がありません。県は石垣市への聞き取り調査のみで、議事録は確認できませんでした。

 本事業では大量の地下水を利用する予定です。これによる影響については全く評価調査がされていません。下流のラムサール条約湿地名蔵アンパルの生態系が狂うだけでなく、周辺営農者は長期的に塩水化などの危険性があります。また、事業予定地の市民の森はホタルツアー、アンパルはネイチャーガイドや児童・市民向けの観察会、名蔵湾はダイビングと事業、暮らしで活躍しています。農薬・大量の地下水利用・光害のあるゴルフリゾートができることで、これらの事業や暮らしは悪影響を受けると予測されます。環境影響評価で地下水の影響、アンパルについて、事業者が実施した環境影響評価は調査不足である旨を県知事意見書の中で指摘されています。

 何より、この事業予定地はカンムリワシの繁殖地です。「国の特別天然記念物」「絶滅危惧種ⅠA類」「石垣市の市鳥」の生息地を石垣市自らつぶそうとしています。カンムリワシは市のマスコットキャラクターにもなっていて、お祝いの席や観光のグッズなど経済活動にも組み込まれています。カンムリワシ

損害③畜産業者への悪影響

 事業予定地には100haの農地、主に牧草農地を含みます。この牧草農地がゴルフリゾートになることで石垣市全体の畜産業に悪影響が出ると懸念されています。この場所は県の多額の補助金を投入して牧草農地として整備され、畜産公社が運営され、「石垣牛」を生み出した場所なのです。本来牧草農地として利用することを前提に民間に払い下げられたはずですが、何回かのロンダリングを経て、牧草農地以外の利用前提で事業者に買い占められた状態です。しかし、今現在も牧草農地として多くが利用されています。

 ここを投げ出すとなると石垣市の畜産業に未来はないと示すようなもの、今後の補助金が非常におりにくくなる状況となることをだと畜産業者の方が懸念しています。また、世界情勢に伴う飼料高騰は非常に深刻で、牧草盗難事件が発生するほどです。島内の石垣市は牧草農地を増やすことを政策に挙げていますが、ここで失われる牧草農地100ha分をどのように確保するかは何の説明もなされていません。これらを踏まえて、沖縄県に対し「農振除外異議申し立て」を行いました。

Q2.島に雇用を生むなら必要でしょう?

 石垣島に一度来てみてください。島はオーバーツーリズム状態です。求人を見ると、リゾートホテルも含め、どこも人手不足なのがわかります。

 また、本社から配置される管理職はさておき、大規模なリゾートのスタッフの待遇が恵まれていないことはよく知られています。従来の観光、ゴルフリゾートでは市民の暮らしは豊かになりません。

参考 沖縄の主要産業だけど…観光業で「働きたくない」 若者は敬遠、親も勧めず 不規則・非正規就業が背景に沖縄タイムス

石垣島は離島というハンディキャップがあるので沖縄本島の真似をしても廉価版にしかなりません。島の経済の未来のためには、島の独自の自然を生かすか、輸送というデメリットをカバーするようなブランド化、または物理的なハードルがないIT産業などに力をいれる必要があると考えます。

Q3.カンムリワシは生息地保全よりも交通事故が深刻でしょう?

 どっちも深刻だからどちらも対策しないと絶滅してしまうレベルです。というか生息地の改変と交通事故はリンクしています。農薬漬けのゴルフ場の芝生ではカンムリワシの餌場になりません。緩衝地帯の農地が減ると、より道路で餌を探すことが予測されます。環境省が出したカンムリワシ保全方針(2023/4)でも、生息地の改変はカンムリワシの保護上の課題としてあげられています。

 島内に200羽もいません。本来、生息地を絶対に保護、どころか、ライチョウやコウノトリのように保護増殖事業に投資しなければいけないレベルです。ただし、猛禽類はそうした増殖事業は難しいため、生態系そのものを守るしかないのです。

Q4.事業者の私有地をどうしようが勝手では?

石垣市が全面的に協力しないと実現できない事業です。島の貴重な生態系を破壊するのに、石垣市がごく一部のゴルフをやりたい人のために、推進しています。

石垣市が市有地を不要に提供

石垣市が全面的に協力し、公共事業化のような振る舞いをしています。しかし、前途の通りゴルフリゾートは観光振興にはつながらず、ゴルフ場が欲しい一部の市民のためにつくる本音が明らかとなりました。市民のため

架空土地交換契約

・住民訴訟中です。事業者が理屈の通らない主張で石垣市に土地を請求し、石垣市が要求通りに市有地を譲渡する契約を交わしています。詳しい記事作成予定です。

市民の森の不当提供

こちらも住民訴訟中です。石垣島カンムリワシ「自然の権利」訴訟はこの違法性を提訴しています。詳しくはクラウドファンディングのページをご覧ください

参考 石垣島カンムリワシ「自然の権利」訴訟に力を貸してください!GoodMorning

農地はインフラの一種

私有地といっても畜産公社が払い下げた、税金を大量に投入した農地です。通常であれば、SDGsが求められる今のご時世に、ゴルフリゾートのために農地を転用することはできません。農地は「国民全体の生存基盤を支える」インフラの一種です。食料自給率の確保、生態系保全機能、国土保全など、多面的機能を持つため、国として保全する方針です。(農用地等の確保等に関する基本指針

本事業予定地は100haの農地を含みます。石垣市が全面的に協力することで、事業者は購入・農振除外まで進んだ状態です。

農地の購入

 農業法人以外が農地を購入するには農業委員会の承認が必要です。 石垣市の農業委員会は石垣市長が指名できる体制となり、公正な機関として機能していません。石垣市が提示する、間違いだらけの経済効果250億円の一点だけで、まともな審議をせずに大量の農地購入をゆるしてしまいました。

農振除外

 本事業における農振除外(農地転用の前段階、優良農地を外す手続き)は、「地域未来投資促進法」という経産省管轄の法律の適用により可能となりました。

この法律の仕組みは下記のようになっています。

①地方自治体、ここでは石垣市が地域経済牽引事業計画の基本計画を申請し、国が承認

② ①の基本計画に沿った事業計画を事業者が申請し、沖縄県が承認

石垣市が作成し、国が承認した基本計画は下記のようになっています。

(1)石垣市の魅力である自然環境や景観の保全に十分留意しつつ」土地利用が行われること

(2)「対象区域の周辺である名蔵アンパル一帯・於茂登岳一帯をはじめ、優れた自然環境を形成している水面や森林等については、積極的に保全するとともに、市民の余暇活動や環境学習の場等としての有効利用を一層進める」

このゴルフリゾート全くもって適応していないではないですか!?保全どころか全く調査されていませんが!?!?

この基本計画に矛盾したゴルフリゾート計画が地域経済牽引事業計画として承認されてしまうことは違法だと考えます。

土地境界だけでは区切ることができない問題がある

大量の地下水利用、ゴルフ場の芝のための殺虫剤利用、赤土流出、工事騒音によるカンムリワシの営巣妨害、これらは土地境界を越えて周囲に影響を及ぼします。そのために環境影響評価があるのですが、事業者が実施した環境影響評価は調査不足、誤りが多数あり県知事意見書としても提出されていますが、法的拘束力がありません。事業者は県の指摘を無視したまま、手続きを完了させてしまいました。

これに関しては環境影響評価法の仕組み、効力自体に問題があります。事業者が実施した調査の問題点については下記を参照ください。

参考 環境アセスを意義あるものにするために~石垣島ゴルフリゾート計画に対する学会・団体による合同記者会見WWF JAPAN

Q5. ここにゴルフ場ができるくらいで島の自然に大して影響ないでしょう。

Q6. 石垣島のことに島外の人を巻き込むのはおかしいのでは?

地元民だからこそのしがらみ

観光施設だからこそ島外からの意見が大事

生態系は地続き

Q7. リゾート開発が進む宮古島に負けてしまう

地質や地形が違うのでゴルフリゾートをつくっても宮古島のようにはなれないし、なる必要もありません。
近くの島同志で同じ方向を目指しても客の食い合いになるだけです。

宮古島は川がないので青い海と白い砂浜があります。リゾートはそれだけで成り立つのでしょう。陸や海の生態系がどうなっているかは関係なく。
石垣島は陸からの流入があるので宮古島よりもワイルドな海岸ですね。また違った魅力です。石垣島が真似してリゾート開発を推進しても宮古島のような上品な雰囲気は出ません。

また、宮古島がどんどんリゾート化が進む状況については島民・観光客賛否両論あります。今の石垣島が好きで来てくれている観光客を失うことになります。

https://x.com/noco2_sisters/status/1733467516847210807?s=20
https://x.com/island_385/status/1716390439568511388?s=20

Q8. 政治利用のために自然保護をうたっているだけでしょう?

これは沖縄の基地開発に関わる歴史があるのでしょう。

石垣島のこの唯一無二の生態系が、儲かるかも分からない観光施設のために失われるのは、人類にとっての損失です。右も左もありません。

本件は進捗次第では県側を訴訟することも当然視野にいれています。 県に対しても農振除外の異議申し立てや地域経済牽引事業計画の行政不服審査もおこなっていて、口頭意見陳述の度に上記も伝えています。 目的はこの場所の生態系の保持です。 政治のために人があるのではなく、市民のために政治があるのです。目的のために利用することはあっても目的外に利用されることは線引きしないといけず、活動毎の目的による切り分けは重要です。

普段から発信しているXアカウントでは生態系と法律の論理的な問題に絞ったので、「自然は守りたいけど活動家は極端だからなぁ」と距離を置く層にも応援いただくことができているのだと自負しています。

ちなみに、キョクチョー個人は特定で応援している政党はありません。
明確に立場を表明しているフォロワーさんには失礼となりますが、私個人のスタンスと照らし合わせて、両手を挙げて全面指示できるところはないのです。 繰り返しですが、 政治の立場抜きに、この問題の本質を見てもらえればと思います。

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