1. 小さな島の巨大な開発 ー 石垣島の生物多様性を奪わないで ー

国の特別天然記念物、カンムリワシが絶滅の危機にあります。

カンムリワシは国内では石垣島と西表島のみに生息し、各島内でわずか100羽ほどの個体数です。

開発による生息地の消失・交通事故による被害等で鳥類の中では最も絶滅が危惧されている種の1つとなってしまっています。

石垣市の市鳥としてゆるキャラ、ぱいーぐるのモデルでもあり、民謡にも謡われ市民に愛されてきた鳥です。

そんなカンムリワシの数少ない営巣が確認できる聖地が石垣島の前勢岳。
前勢岳は日本最南端のラムサール条約で守られた湿地である名蔵湾にも隣接しています。

そんな前勢岳の山麓に、石垣市が株式会社ユニマットプレシャス(以下ユ社、本社:東京都)を誘致するかたちで大規模ゴルフリゾート開発を進めています。


この開発が進めば、ここに生息するカンムリワシをはじめとした貴重な生物たちは死に追いやられます。
そもそもこの計画にはいくつかの大きな問題点があるのです。

  • 環境への影響調査が不十分
  • 異例で不当な農地転用
  • 市有地の不当な無償貸与
  • 経済効果を謡っているが、その内容・根拠が非公開

カンムリワシを守るために戦う裁判費用が必要です。
市の無謀な計画から、石垣島の本当に大事な宝を守るために、力を分けてください。

 2. 会の紹介

私たちは、「カンムリワシの森と里を救う会 ー石垣島ー」として、2022年9月に発足しました。

この石垣島における大規模ゴルフリゾートの問題の発端は12年前まで遡ります。

これまで、石垣島の自然や暮らしを考える複数の団体で調査・情報発信を行ってきました。
しかし、問題の解決にいたらないまま、開発計画が進んでしまっています。

この度、カンムリワシの聖地を守るべく、この活動をより強化するために複数の団体で結託し1つのネットワークとして立ち上げに至りました。

参画団体はこちら

3. なぜ、この問題が重要か:カンムリワシの危機

カンムリワシは国の特別天然記念物に指定されています。猛禽類で唯一の天然記念物です。
国内では八重山諸島の石垣島と西表島のみに生息し、各島で100羽程の生息が報告されています。
コウノトリと並んで最も絶滅が危惧されている鳥類ですが、兵庫県で積極的に保護活動が取り組まれているコウノトリと異なり、カンムリワシの保護計画は、ほぼ未着手です。

また、カンムリワシは研究者も少なく、詳しい生態が十分に分かっていません。
100羽程度となると、個体群を維持するのにギリギリの数と考えられないでしょうか。


分かっていることとして、カンムリワシは個体ごとに縄張りがあります。
営巣地・餌場が奪われると共にそこに生息していた個体は死に追いやられることになります。
また、カンムリワシは1年に1羽ずつしか繁殖しないため、生息数が大幅に回復することはあり得ません

石垣島と西表島の個体群が交流せず、独自の個体群を築いていることも報告されています。
つまり、石垣島のカンムリワシは石垣島にしかいない貴重な存在なのです。

4. なぜ、この問題が重要か:周辺への悪影響

① 建設予定地の生物

大規模ゴルフリゾート開発地における森林・河川の埋め立てにより、貴重な生物が生き埋めとなります。
ヤエヤマヒメホタルやサキシマヤマトンボなどの昆虫類、イシガキパイヌキバラヨシノボリなどの淡水魚類や天然記念物であるキシノウエトカゲ、セマルハコガメなどの爬虫類。
いずれも、八重山でしか出会えない生き物たちです。

幻想的なヤエヤマホタルの群集 
多くの市民・観光客が観賞に訪れる

石垣島・ヤエヤマホタルの森が危ない!では16,000を超える反対署名が集まりました。

写真:青木康夫


② 日本最南端のラムサール条約湿地・名蔵アンパルと名蔵湾

大規模ゴルフリゾート建設予定地のふもとには、ラムサール条約(水鳥を守るための国際条約)で定められた湿地である名蔵アンパルがあります。

 名蔵アンパルには多くの甲殻類や貝などの小さな生き物が多く生息しています。こうした小さな生き物は農薬や塩分濃度の変化で生態に大きな影響が予測されます。
同時に、これらの生き物を捕食する水鳥の生態をも脅かすことになるため、ラムサール条約に抵触し得る状況といえるのです。(ラムサール条約第四条4項


オキナワハクセンシオマネキ



ヤエヤマヒルギシジミ

子どもたちの学び場が奪われる

名蔵アンパルは子どもたちの環境教育として親しまれてきた貴重な学び場です。
定期的にボランティアによる観察会が開催され、島内外の子どもたちに生物多様性に関心を持ってもらう貴重な場となっています。
 石垣島は地方でありながら、生物多様性に関心を持った子どもたち・若者がたくさん活躍しています。こうした若者のたちの意欲をつなぐために、大人たちが石垣島のかけがえのない自然を守らなければなりません。

 また、名蔵アンパルから海に出た名蔵湾には貴重な現生サンゴ群集があります。
近年の温暖化・富栄養化により、石垣島でもきれいなサンゴ群集が残っている場所は多くありません。

③  周辺の農畜産業への悪影響

建設予定地の周りには、カンムリワシが舞う自然と共生した水田や畑地・牧草地が隣接しています。
そうした農畜産業への影響として、下記のような問題点が挙げられています。

  • 周辺農地における水の利用に支障をきたす
  • ゴルフリゾート建設用地からの排水及び農薬流出の影響
  • 営農地への通行が妨げられる
  • 石垣島における農畜産業の振興を妨げる
  • 農地の多面的機能を害する
この大規模ゴルフリゾート開発計画について、農地転用が承認されたことには多くの疑問点があり、県への審査請求を行っています。
別途詳しくこちらで解説しているのでご覧ください(ページ作成中)

5.クラウドファンディング

大規模ゴルフリゾートによる悪影響が懸念される中、市の計画に不当と思われる点がいくつかあります。
このため、カンムリワシの里と森を守る会では、県や市に対し、申し立てを行っています。
認められない場合は裁判に発展することとなります。

これまでボランティアおよび弁護士先生の善意により進めてきました。
しかし、費用が限られる中では活動の継続・内容に限界があります。

このままでは大規模ゴルフリゾート開発が、問題を抱えたまま強行されてしまうと考え、
皆さまにご協力をお願いする運びとなりました。
寄付でいただいた費用は下記の活動費用に充てる計画です。

  • 弁護士への相談料・依頼料、交通費
  • 行政手続きにかかる費用(沖縄本島へのメンバーの交通費なども含む)
  • 裁判に必要な調査(生態調査・意識調査など)費用

ぜひ、石垣島のカンムリワシの里と森を守るために、皆様のお力添えをお願いします。

クラウドファンディングページ

6. どう解決するか?:リゾート開発の問題点に審査請求

下記の点を県または市に対して申し立てを行っています。
認められない場合は裁判となる見込みです。

① 特別天然記念物カンムリワシおよびその周辺の生態系に悪影響について

県がユニマット株式会社に対し承認した「地域経済牽引事業計画」について審査請求を行っています。

カンムリワシをはじめとした生態系への悪影響および、経済効果の不透明さについて再度審査をお願いするものです。

大規模ゴルフリゾート開発予定地は沖縄県の「自然環境保全指針-八重山編(陸域)」で評価ランクII(自然環境の保護・保全を図る区域)に位置付けられています。

石垣市も、この一帯の自然環境の特性を高く評価して、「石垣市民の森」に設定して、「石垣島が担いうる自然博物館的役割の中心地として整えていく」ことを目標に維持管理を続けてきました。
本件の大規模ゴルフリゾート開発事業は、前勢岳一帯に対する従来の沖縄県行政・石垣市行政の基本的な方向性(保全が絶対的な命題)と完全に逆行する内容です。
詳しくはこちら(動画URL

② 農用地利用計画の案 について

県に対し、農用地利用計画の審査請求を行うものです。

大規模ゴルフリゾートの建設予定地には農地が含まれます。
これらを農地以外に転用する場合は県の承認が必要です。
これまで、本計画のような100haを超える大規模な農振除外及び農地転用が行われた事例はありません。
また、経済産業省のページを見る限り、全国的にもそうした事例は確認できません。

多くの問題がある中、この計画が承認されていることに対し、被害を被るであろう営農者の方々が申し立てを行います。

詳しくはこちら

 ③市有地の不当な名義交換

開発地における一部の土地において、市の土地とユ二マット社の土地の名義を交換するという計画があります。

しかし、この中でユ二マット社名義の土地とされている個所はユ社名義である法的根拠が一切ありません。
この土地は市民の森公園として石垣市が沖縄県より補助金を得ながら管理してきた土地で、市有地となっています。

 登記名義はもちろん、支配の実態からしても契約外の事情によってユ社が所有権を取得する事情は存在しないのに、こうした不当な計画をたてています。

詳しくはこちら